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多面体の芯

私は風俗嬢だが昼間は会社員であり、休みの日にはソーラン節で仲間と共に汗をかく。いずれにくみしていても、不可欠の人物として周囲から必要とされているようには思えない。


「昨日の夜は遅かったじゃないか」
「お客さんの指名が入っちゃって/残業が長引いちゃって/本番が近いのよ」


あなたの知る私によって、吐かれる言葉も種類を見る。ありのままを伝えるよりは、真実を掴んだ気にさせることがお互いにとって大切なのかもしれない。(由香里・都内在住・35歳)


感性が、思想が、緩やかに朽ちては削げ、やがて埋没し堕ちてゆく日常の中、自己を救済する手段が無い。真実を隠すことによって得られる『ここではないどこかにいる自分』の可能性。これを潰さないことが目下の延命であり、自己肯定に繋がる。世の中の価値観さえ変われば私にもまだまだ目がある、あなたの知らない私の本質、周囲が追いついてこないのだ……、


工場に勤めながら革命闘争に没頭した昔日の共産主義者もまた、ある日突然にして英雄になってしまう自己を夢想したのだろうか。


受身のヒーロー像はどれもこれもがセカイ系としてひとまず一つの類型に収斂されたが、人々の悲しみを受け容れる物語として機能するには器のいまひとつ狭いようである。あの期に及んで、エヴァンゲリオンに乗れない自分がいるのではないだろうか? 昔のヒーローは、困っていれば空から勝手に飛んできたものだが、今となれば世界の不都合は他ならぬ自身がこの手で救済せねばならない。落ちぶれるよりは主役になりたいが、なったらなったでそれはとても面倒くさい話だ。夭逝の囃されがちなのは、選民思想を持ったまま、それを試される場面に遭遇せず万能感に包まれたまま死んだがゆえ結晶となった、約束されえない未来、が、無限の可能性と混同されるから、かもしれなかった。










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