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  • 2015.10.23 Friday
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ギブソンSGが五万

 先日、アメリカ出張の合間に時間があったのでギター屋へ立ち寄った。店内は天井が高く、上位モデルのレスポールともなると値段というか物理的にちょっと高いところにありすぎて値札を見るすら憚られた。私は左利きなので対称になった形状を目で追いつつ、例によって基本色の基本モデルのみが二三本飾られているばかりであることを確認すると、あとは細かいものを見て回った。狭い通路であるにもかかわらず、試し弾きに興じるバンドマンや愛好家たちが中華料理屋風の丸椅子に組んだ片足を投げ出すようにして大げさに腰掛けているので私はパックマンのように安全な路地路地を選びまた進んだ。と、両乳首から輪ピアスを垂らす筋肉質な上半身裸の店員が話しかけてきた。


「何をさがしているんだい?」
「SGの相場はどんなものですか」
「今年の新作はこれだ、6万円」


 無塗装のボディにはピックガードもなく、なんというかむき出しの木材めいていていかにも安価な風貌と見受ける。されどネックにはGibsonの文字が燦然と輝いており、聞けばSGJなる廉価な新モデルだった。


「これじゃあエピフォンが更に苦しいですね」
「おやおや、エピフォンだってとてもいいメーカーさ」
「そうですか。僕のギターはエピフォンのシェラトンです」
「うっわ、シェラトン、だっさ」


 本場アメリカではギブソンもこんなに安いものかと大いに驚いて帰国後、そのような話を数人に触れ回ったところで本日、ふとしたことからSGJについてネットで調べてみると、円安であるにもかかわらず五万で販売されていたのである。新品のギブソンが五万を割る時代に突入した。通販でおなじみ激安カスギター共はこの先どうなってしまうのか。


「俺らの頃はな、いきなりギブソンなんて選択肢はぜんたいあり得なかった。なけなしの小遣いを握りしめて、バンドやろうぜの巻末に並ぶ入門セットみたいな写真をじっくり眺めて、眺めるほどに単なる劣化コピーなんだが、それでも良さげなやつを買ってだな、届くまでの数日間をそれこそ天にも昇る気持ちで待ったものだ。近所に楽器屋もなければネットなんてまだまだ一部のマニアの遊び道具だったからな。そうしていざ家に届いたギターを触ってみて、弾いてみて、やっぱりカスなんだこれが」


 懐古厨とは往々このようにして生まれるに違いなかった。
 


 


 


 

 

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