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  • 2015.10.23 Friday
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乱交前夜

 忙しさが度を超えると何もできず、かといって暇が極まれば何もしなくなる。私はせめて後者でありたかったが、雑な金銭感覚を有しているため前者たらざるを得ない。こういう人間に限って己の到達し得ぬ無私無欲を欲しては仏門に下り、家出少女をかくまうロリコン坊主に成り果てるか、もしくははじめからロリコンである。私はせめて前者でありたかったが、乙な異性感覚を有しているため後者たらざるを得ない。


 朝の九時から電話が鳴って、年下の設計士からだった。彼に頼まれた翻訳原稿を放り投げて半月も経過していたので、催促が来るのならそろそろだろうかとは思っていた。頭で言い訳を紡ぐより早くうっかり親指をスライドさせてしまった私は、電話越しに念仏のようにすいませんすいませんとぶつぶつ唱えて先手を打ったつもりであったが、


「ああ、翻訳もそうなんですが、合コンです。前に話していたやつ」


 ほっこりする話題というほかない。彼の姉の旦那の妹、という女性と私を是非とも巡り会わせたいと、そういう流れがそういえばあった。朝から合コンの思案とは、さすがクリエイティブな人間は柔軟である。だが私は、彼のいわば親戚筋にもあたる女性に万が一性的な非礼を働いた末には、この姉の旦那とかいう義理の兄にぼこぼこにされるのではないかと、胸が痛いものだから、


「猿渡君は知らないだろうがね、こう見えて僕はインポだ」
「ちょっと僕の親戚にヤリ目とか勘弁して下さいよ! とりあえず出張から帰ってきた週末は空けておいてくださいね、ほかにも二人来ますけど、一人はめっちゃ可愛いですよ」
「男は?」
「僕らと湯気君です」
「ああ湯気君か、彼はいい男だ。じゃあそれまでに腹筋を十五個に割っておくよ」
「奇数ですか! でもそういう軽妙なヤツ期待してますよ、ではっ」
「あっ、そういえば猿渡君!」


 と、ここで電話は切れてしまったが、まず初期悟空の腹筋は上部が半円で総数も奇数であるから鳥山にまつわる言葉で対応するのがこの場合においては正しい、加えて、私には目下のところ彼女がいるのだった。


 私の彼女は留学を検討中で、私は彼女のためにその書類を英訳せねばならないのだが、それもまた放り投げている最中で、まだ見ぬ異国の地に対して心理的な不安を露骨にする彼女を差し置き、浮かれた丸眼鏡でのこのこと合コンへ出向くなんて、毛深いくせに、私が女であれば絶対に彼氏にしたくない類いの男だ。と、ふたたび猿渡君から、こんどはメールが届いた。


「ちなみに今回の合コンは、今までに会った静岡県民の中でいちばん面白い人を連れて行くってことになってますから、お願いします!」
「静岡県民でいちばんは、マジカル・パワー・マコじゃないの?」


 衆院選も間近に控え、もしやこの会合そのものが、比例は公明党でヨロシク! の、あれではあるまいなと、そこだけを心配している。

 

 

 

 


 


 

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