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  • 2015.10.23 Friday
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みうらじゅんスライドショー及び大人のスイカ割り

 先日、浜松にて開催されたみうらじゅんスライドショーへ足を運んだ。帯同したのはこちらに住まう女性、サブカルが好きなんですという彼女の変わらぬスタンスに対してあほかと思ってしまうのは、今の私の仕事がユーモアを要さないからだろう。余裕だけがユーモアを生み出す。かつて愛したサブカルチャーの大家に対して一歩引いた気持ちを抱きつつ、浜松アクトシティへ向かった。


 ヤフオクで格安で手に入れたチケットは、前から二列目の右寄り、つい先日購入した舞台細雪のチケットも同じような席だから、右に寄りがちなのは思想だけではなかった。登場したみうらじゅんは相変わらずの調子で、変わらないことは良いことだ。


 スライドショーとはみうらじゅんの見つけてきた珍妙な写真が舞台上のスクリーンに大写しにされて、それに対して氏がコメントを添えて笑いを誘う、というイベントである。松本人志の一人ごっつ『写真で一言』との相違点は、前者は解説、後者は大喜利で、近年のバカ画像的なユーモアがスライドショーの肝となる。そのようにしてみうらじゅんは既にあるものを弄る能力に優れている。写真で一言は、そのままでは笑い的意味を持たない写真に松本が生命を与える点が凄かった。一人ごっつに限らず、0から1を産む凄みを松本人志によってまざまざと見せつけられた我々は、どうにかその方向で彼を超えるべく各ジャンルの表現者のみならず素人までがボケに傾倒したが、一部を除けば銭を取る程度の質を保つことは出来なかったとみえて、2ちゃんやニコニコで面白い人間たちが何をやっているのかと覗いてみればほとんどがありもの弄りである。サンプリング、同人、笑った画像貼ってけ、何でも良いが、これらよりも即興性のある笑いが尊ばれるのは、実際に難しいからであって、2ちゃんで秀逸なレスが飛んだ際に周囲から感嘆の声が漏れるのは体験に基づいている。みんな、面白いことを云って、褒められたい。


 公民館で開かれる子供会の映画鑑賞会並にゆるゆるとしたイベントは二時間程度で終わり、かなり不味いパスタを食って女を家に送ると、私はそのまま今度は、「スイカ割をやるから来いよ」との知人からの不明な誘いに乗って車を浜北まで走らせた。浜松市は政令指定都市となるため近隣の市区町村を合併しすぎて現在のところ面積では日本一だが、新たに浜松となった土地の中には、まるで価値のなさそうな山だの畑だのしか見えない辺鄙な場所も多く、私の向かったのはまさにそんなところだった。土地勘がまるでないものだから、一度ライター仕事で墓地を巡らされた際に足を運んだ巨大な公園を待ち合わせ場所としてもらってあった。タイヤの表面がF1並につるつるとした危なっかしい私のボルボが公園の入り口へ怪音たてて到着すると、ベンチに煙草をくゆらせていた待ち合わせの男がこちらへ歩いてきた。私以外は全員が集まっているから早く行くぞと急かされて、そこから5分ほど車を飛ばす。到着したのはレンガタイル調のマンションで、2階だから階段で行こうとつかつか上がってゆくと、目を見張るほど不細工だが若い女が扉にもたれかかりながらビール片手に煙草を吸っていた。今日のイベントの参加者らしい。どうもと一声かけると、我々を待っていたようで、押されるようにして三人もろとも室内へなだれ込む。灯りの一切ない室内だったが説明によれば玄関から正面にリビングがあるようで、そろそろと障害物に気をつけながら声のする空間へ出ると手探り足探りで腰掛ける場所を見つけた。我々を合わせて男女比半々の六人が、或いはソファへ或いは地べたへ座り座り、ともかく一同揃って丸くなった。何で電気がついていないのだろう?


「恥ずかしいから」


 恥ずかしいと女が云うから灯りは全て消してある、男から説明があった。フローリングに座る女の煙草の先端ばかりが明るく、灰皿に揉み込まれた火種が灰皿でばらばらと散らばる。火種の一つ一つを揉み込んで、最後の火種が消えてしまうと、室内は真に暗闇となった。


 集まった面々のうち、私が知っているのは待ち合わせた主催者の男一人しかいなかったから、非常に窮屈な思いから早速帰りたくなっていた。女三人はみな知り合い同士、私ともう一人の男は、主催者が連れて来た。女三人もまた、主催者によって連れて来られた。広い人脈である。全消灯の最中スイカ割とは一体何事か、謎めいたイベントの内実を問いただしたところ、男が全裸で目隠しをして股を開いた女に向かって歩き、挿入を競う遊戯だそうで、いよいよやりきれない。


「元々はお前のアイデアだろう」


 男によれば、以前私は話のどこかで、子供の遊びとしてスイカ割があるのなら、女が砂浜に上半身を埋めて、目隠しの男が挿入を狙う、そんな芸者的な大人遊びが高度経済成長期には生まれていても不思議じゃないよねと発言していたらしく、松本人志を尊敬する人間の発想とは思われない下衆具合に、本当に俺が云ったのかと何度も確認したが、間違いないようで、しかしそんな遊びを実際にやりたいはずがないのである。私の発言が本当にあったのだとすれば、あの時代の大人への侮蔑ばかりが籠められていたに違いなかった。


「だが素面じゃあ出来んぜそんなことは」


 まずは一杯とばかりに私が手渡されたのは、紙コップ入りの焼酎だった。誰が注いだのかも分からぬ中で何を飲まされるのかわかったものじゃないと思って、缶ビールをせがむと、あいにく他には酒がないという。それでいいじゃんか、周囲の声を振り払うようにして、じゃあ買ってくるよと私が強引に出ようとすると、一人の女が一緒に行くと玄関まで出てきた。暗闇の中ではまるで判然としなかった女の顔が外の灯りに明らかとなって、見ればこのジャガイモ、毒芽を吹いているではないか。大丈夫、一人で買ってくる、欲しいもの云え、あとマ○コをよく洗っておけ、そう云うと、ゲラゲラ笑って奥に戻って、超酷いこと云われただの何だのといった声が背後に聞こえてきて、不快の中玄関の扉を早急に閉めると、愛車を自宅へと走らせた。急用を思い出したのである。


 もう、あの男と会うこともないだろう。


 





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  • 2015.10.23 Friday
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  • 21:26
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コメント
「暗闇の中ではまるで判然としなかった女の顔が外の灯りに明らかとなって、見ればこのジャガイモ、毒芽を吹いているではないか。」で噴き出しました。期待にこたえてくれてどうもありがとうございました。
  • morimori
  • 2011/08/29 2:14 PM
morimori様

忙しくなると性格も悪化するようで、世の大人が意地悪な理由がわかった気がします。仕事を効率化させるためにデュアルディスプレイにしてみましたが、眼前に23インチを並べた感想は吐き気を催したの一語ですから分不相応だったようです。
  • 本人
  • 2011/08/30 11:08 PM
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