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  • 2015.10.23 Friday
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俺の女が見知らぬ男の軀を泳ぐ

 ――ここ数日、俺はいやに生々しい夢を見る。俺の女が、顔も知らない男の軀を泳ぐ。波打つベッドは二人の淫らな飛沫に濡れて、部屋に立ち籠める甘い臭気に俺の心は居酒屋檸檬のようにぎゅうと絞り上げられる。お前は、俺の眼前で一体何をしている!? そうして毎朝、気違いみたいに錯乱しながら目を覚ますと俺は、テレビも点けずに黒い液晶に映る己の眼(まなこ)を凝視して、腹の底から低く呻く――


 ハ ワ イ サ イ パ ン


 俺は海外旅行でハワイとサイパンへ行く奴を心底軽蔑する。こいつらの思考の惰性は見るに耐えない。抜けた青空、紺碧の大海、ヤシの実ジュース。これら求めて少しネットを詮索すれば、遥かに素晴らしい常夏の島なぞ世界に数多あるというに、みんなが行くからハワイ、有名だからサイパン。ばかじゃないかと思う。でも、俺も行きたいハワイサイパン。浜辺に生える(浜辺に樹木があるのか?)椰子の木にもたれながら、燃える夕陽をサングラス越しに眺めて、青みがかったトロピカルコックテルをストローでちょろちょろ、(今夜はこれからマイケルジャクソンそっくりさんのディナーショーだ……!)そんな休日を心底欲する。さしずめ隣に座るのは、夢に出てくる俺の女。ただしあいつは生意気だから、俺が椰子の木にもたれかかれば「こんなに細くっちゃ貴方でいっぱいね、私は向こうのハンモックに寝そべってくるわ」なんぞ生意気言っちゃって、往来の騒々しさにふとハンモックを見遣れば、驚いたことに初見の白人サーファーにアナルを舐められているところだった、なんて破廉恥もなくはない。あいつは元来そういう女だ。


 ……解せないのは、その女は彼女に違いないのに、肝心のそういう女が俺にはさっぱり見えないことだ。夢の中にのみ生きる彼女、ということになろうか。しかしそのくせ逢うたびあいつは他の男に股を濡らしている。なんという阿婆擦れを夢想のうちに宿してしまったことだろう。確かにあれは美人で、まず俺の知る限りでは相当の女だ。肩より長い黒髪の細やかさといったら広重描く春雨よりもさらさらと、されど男にまたがり始めれば頬と言わず唇と言わず、汗滲む純白の柔肌にべったりはりつくしどけなき黒絹、これ見るも妖しき色魔の相。生まれつき潤みがちだという瞳は、今にも房から溢れんとする枝豆の半身を見るかの如きぱちくり具合、鼻の主張甚だ少なく、赤く熟れた唇は端に黒子のいかにも男をくすぐる、齢およそ三十路の名も知らぬ、しかし間違いなく俺の女……。


 性格は、知らん。が、容姿ひとつとってみても、あれはきっと性質矮小の俺だけに満足できる類いではない。軍神カエサルをすら狂わす一代の魔女と見るが自然だ。


 このふざけた夢を見るようになってから、どうしてか俺は過去を後悔するようになっていった。もしやこの女は、まかり間違えば本当に俺の女となっていたかもしらん? 本能は、それを伝えるべく夢を間借りしているのかしらん? たとい挙句の裏切りであろうとも、こんな女を抱きたくないといえば男子一生の嘘となろう。堕ちるべきところまで堕ちても構わない。どん底も頂天も知らぬ平々凡々に埋没するこそ哀れならんや。現実味のすっかり落剥した『あるべき俺の姿』といういわば虚像、この夢をさんざ見るにつけいつしか『思念上の実像』とは相成った。


 取り返しようのない過去というものがあるのなら、つまりこんな女をものに出来たかもしれない機会がこの俺にもし与えられていたのなら、果たしてどの瞬間であったか? 知りたくて知りたくて俺は、精神に破綻をきたして会社を辞めて後、夢を見ることに日の大半を費やした。眠るたび、あの女はやってきて、そうして、浮気をして、去ってゆく……。勃起もしないセンチメンタルに俺の心はいよいよ虚しくなっていった。


 貯金を切り崩すうちパチンコをやる金も尽きて、ゲーセンの麻雀ファイトクラブに日の大半を費やすようになっていた時分、奇怪な現象が俺を襲った。この麻雀ゲームは、アガると龍が降臨して派手な演出を見せてくれるのだが、俺はその時トイツ狙いでいくもヒキの弱さに流局近しと絶望していた。その時、ふいに天から世にも幼女らしい声が降ってきた。


「貴方はチーマンを選びます。宜しいですか?」


 実際、俺はチーマンをタッチパネルで捨てるところだった。しかし一体この声は何だ? チーマンを選んではまずいのか? しかし一旦そう言われると、牌を変えるも気味悪く、結局俺はチーマンを捨てた。挙句流局。すると……


「ビカーン! 四暗刻ドラ12」


 眼前に、幻とは思われない風景が突如として生じた。そうして驚いたことには、場面がチーマンを残した直後の俺にうってかわり、そこからの局が二倍速気味に展開されるではないか。見ればトイツを狙っていたはずだのにそこから拾うわ拾うわで瞬く間に三暗刻、ラスツモではなんと驚きのトンを引き、アカギも戦慄の自力四暗刻しかもドラ12(無意味)を達成した。


(これはまさか、俺の渇望していた、『選択次第で幸福にもなり得た瞬間を、事後的に教えてくれる神の光臨か!?』)


 事実、そうに違いなかった。というのは帰途、ぶらり立ち寄ったバーにてバーボンを頼むと、再び天啓、


「バーボンですね?」


 また来やがった! 同じ轍は踏むまいと、俺は今度はカルーアミルクを選んでみせた。ところが神の野郎、一体何を見せてくれるものかと楽しみにしていた俺をさしおいて、刻々と時間は経過、結局俺は古着屋の店長とラングラーの生地についてつまらぬ話を繰り広げ、自宅に戻った。すると再び眼前に閃光。


「へーえ、その年でバーボンなんてキメちゃうんだ、やるじゃない。え、私!? こう見えても一応IT系の社長やってるの。女だからって見くびらないでよね、乳首はピンクなんだから。でもさ、ヒルズの男は全然ダメ。頭が良すぎてセックスにオムツを要求するような男ばっかり。え、何それ! 実は私、パイパンなの……♡」


 といういきさつと共に、糞汚い荻窪六畳一間の俺の家にはふさわしくない妙齢の色気をそなえた女性が、オムツを剥いで無毛の局部を俺に舐めさせている。……そういえばあのバー、独り酒をする美女がいた! バーボンを頼むなり、おやとした瞳で俺を覗く、美女がいた!


 ……この神は後悔しか生み出さない。けれども、それかといって神には違いない。何せ、二択でいずれかを選ばねばならぬ時、常人では知り得ないパラレルの現実を垣間見せてくれるのだから。そうしてこれこそ俺の望んだ神に他ならぬ。未来を教えてくれなくとも良い。その場その場の選択が、かくも夢に溢れている、これほどまでに刺激的な神の、これまであったことだろうか!?



「あなたは、この記事を読んでコメントしませんね?」


 

 

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  • 2015.10.23 Friday
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コメント
後悔しかさせない神っていいですね、下ネタ爆裂で昔の猫木さんみたいでした!そんな感じでぶっとんだ適当な文章また待ってます!
  • ベンチ
  • 2010/12/02 9:46 PM
雪子姉さんは前回切れてどこかへ噴火していったので私が書くんだけども、すっごいですね!!
猫木くん具体的すぎる〜〜頭に荻窪の情景が浮かんでくるようでした。ホホホ。
妙子。
  • こいさん
  • 2010/12/03 6:12 AM
「コメントしません」を選んだら負けと思って、コメント書いたら、コメント書いてなかったら私の代わりにこいさんがコメントしてるっていうもうひとつの選択肢が見えて、こいさんと猫木少年はなかよくしてました。
私は、前回ひどいコメントを書いたので、きっともう書かないでくれと思われているので、こっちがバッドな方の選択なのですね。きっと、あなたは返事をくださりませんね。私の神様も後悔しか生み出さないみたい!キーー!鐘メってなんだい??
  • 雪子
  • 2010/12/03 6:17 AM
ベンチ様

この厳寒の最中、ベンチという名前で僕の心を温めてくれようとするその優しさに感動しました。本当は、もっともっと続けるべき内容だったのですが、時差ボケがひど過ぎて途中で力尽き、朝起きたらばノートを枕に電磁波直撃でした。

このニュアンスで宜しいのでしたら、毎晩でも書きましょう。僕も今一度、面白い怪奇をおさらいせねばならない時期かと思っておりました。コメントありがとうございました。
  • 本人
  • 2010/12/03 9:19 AM
こいさん様

こいさんのいう具体的な描写とはすなわち、高円寺にて本棚を整理して……の過去のフィードバックですか。意識して書いたわけではないのですが、単語と単語の結びつきがあるイメージを生み出すことはままあるわけで、結果的に僕はこれを書くことであの、めまぐるしい夜を思うに至ったのでした。

もう少し工夫して、もっと幻想怪奇に近付けたいものです。何せ、時間をかけねばなりませんね、コメントありがとうございました。
  • 本人
  • 2010/12/03 9:21 AM
雪子様

躯、という文字は携帯に変換されないようですね。これは僕のニュアンスを伝えてくれないので非常に残念な次第です。

喜怒哀楽、いずれの爆発もこれはすなわち生の意志です。炸裂するだけの元気があるのなら、「元気があればなんでもできる」と猪木も仰るように、なんでもできます。猪木全試合DVD集が発売されました。10万なんぼですか。ゆっこさん、買って下さい。
  • 本人
  • 2010/12/03 9:27 AM

触る前からとろっとろでしたよ、あの子のオマンチョスは!!
ぬゅぷぬゅぷ気持ち良くて5分もたなかったわww
http://7fna704.less.g-killing.net/7fna704/
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