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  • 2015.10.23 Friday
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ブレーメンです

 私のいつもの海外出張は、両隣を埋める百キロ超級肥満外国人に汲々たる思いをしながら便所にも行けないエコノミーの物語で、びたいち動かれない。食事時になると、アルミパック臭い飯を分けられ都度、ガツガツやる。地上から見ると陽射しに煌めきよだかのように美しい飛行機だが、ごうごう轟くジェット音の半分は、ブロイラー戦士たちの嗚咽である。


 けれども今回は、マイレージが溜まったという恩恵から、往路はビジネス。どれほど自由かというに、漫画喫茶ほどでしかないが、フィレステーキは藤田和之の握りこぶし大、部下の前で尾崎の卒業を唄い体制を批判する管理職よりかは納得の空間だと思う。その支配に加担しているのはどこのドイツだ。いけない、私は今、ドイツに来ているのだが、うっかり、バレたか……。


 フランクフルト空港、滞在時分に通い詰めたおとなのおもちゃ屋にて、インポテンツの男性でも斜め45度を保つことのできる画期的なフック状の装着具を土産に購入すると、ICEでハンブルクへ向かう。一等席の割には狭く、時差ぼけの怖い私は飛行機も併せて三島の『幸福号出帆』と山田風太郎の『幻燈辻馬車』を読了。ようやく北の商業都市へ到着したのは日付も変わる時分、凍てつく空気が今年のドイツの厳冬を予感させた。すぐに帰るからどうでもよいが。


 土曜、北端の港町nodenhamへ移動し、ちょっと仕事をして、ブレーメンへ入った。あとは会食のほか予定はなく、日曜はまるまる空いている。買い物でもしようかと考えていた。だがし恐ろしきは欧州文化、日曜にはいかなる店も門戸を閉じている、私はそれをこちらへ来て思い出した。時期が時期なので野外にクリスマスマーケットは栄えているかもしれないが、家具や文具や調理器具を吟味したかった思惑は見事に空かされる。今日は何をしよう。


 ところでフットボール賭博に精を出すドイツ男性と話していると、「タクハル」「タクハル」。何をか言わんや、熟考するに高原のことだった。HSV在籍当時、彼は多くのファンに愛されユニフォームはいつも売り切れ、非常にグートな男だったが、今はどうだと問われて、私は、南北朝鮮戦争を論じるよりもなお悲痛な顔をしながら、高原を語った。「Oh……」彼もまた、舌平目をつまみながら国際情勢に明るい頭を回転させ、日本の民主党政治体制をドイツ視点から憂えた際にも増して、沈鬱な表情になった。


 遠方に繰り広げられる戦争よりも、朝方の空腹のほうが個人にとっては問題だ。


 では私はこれから、教会へ行ってきます。髪なき世界、帽子を外すのは神の前だけと決めている。

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