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お香

睡眠は言うに及ばず読書も自習も作文も、寝そべりながらでしかできない。田山花袋よりも蒲団している。極限まで精神が解放されないことには万事につけ人一倍おそいひとなので、会社にも蒲団を敷くことができたらと思っている。姿勢を正すほど、私の気持ちは姿勢そのものに向けられる。気をつけとはよく言ったもので、私はいま傾いていないだろうか、お辞儀の角度は不気味になっていないだろうか、気になりだしたら最期、動きはますます機械的になる。映像に捉えられた自分を見て、所作の奇怪に絶望するのは私だけではないだろう。話を先に戻すと私は蒲団時間が人生においておそらく他の人よりも長い。正岡子規とまではいかないにせよ長いので、快適を求めて香を焚きたく思い買ってきた。膨大の中から、寺のような匂いのものを選んだ。ところが香炉の蓋を閉めると酸素不足かしらん、消えてしまう。設計に問題がある。ゴミを売っちゃあいけない。結局灰皿にコーヒー豆の滓を敷き詰めてそこに棒状の香を突き刺している。キョンシー(霊幻道士)で茶碗の米に箸を突き刺す場面があったがちょうどあの具合だ。お香を嗅ぐと、田舎から上京して一人暮らし間もない女学生の部屋という印象を覚える。お洒落というものを足し算でしか表現出来なかった彼女たちの若さ、香の匂いによって部屋の装飾までもが容易に想起させられた。朧な輪郭を与えられた記憶の中でも、私は蒲団の中にいる。今にして思えば、地元から離れ過去からの脱却に成功、匿名性を帯びたことにより新たな女として生まれ変わるべく意気揚々と都会へやってきた大学一年生女子の貞操観念は、自分が親なら剥き出す白眼も血走るほどに、獣だった。

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