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  • 2015.10.23 Friday
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水嶋ヒロは日本文学史に煌めく星

 ポプラ社の文芸賞に水嶋ヒロが選ばれたようで、世間では出来レースとの声が嫉妬と嘲笑交じりに叫ばれている。受賞した人間をよくよく調べてみたら吃驚、水嶋ヒロだった! と謳われているからには高橋英樹の娘同様、コネではないということだ、コネだが。


 彼は芸能活動を辞め、文筆家を目指すのようなことを放言していたように思うが、転向した矢先から早速これではその文才たるや芥川・三島の再来であると期待せざるを得ない。何せ賞金は二千万、賞の設立された第一回目を除けば長らく大賞不在を続けてきた、あの、謎の、ポプラ社小説大賞である。試みに小説を一本書いて即座に二千万の賞を獲るとは極彩色に煌めく鬼の才能の持ち主、ラディゲに劣らぬ天才、そんな人間がたださえ文藝不毛の平成にあって生存していて、それも迸る能力をひた隠し在野に埋もれ続け、いざ正体を明かしてみればなんと水嶋ヒロだった、なんて、私は夢想だにしなかった。彼の話芸には善人の雰囲気こそ漂ってはいるが、秀逸な比喩で現実の様相を一変させるような詩的言語感覚も、凡人をして驚嘆せしめるような論の緻密さも覚えたことがない。本人が書いていないか、もしくは賞のハードルを彼に対してだけ極限に下げたか、のどちらかである。それというのも、↓


 処女作が二千万の価値を有する作家の出現、これは我が国の近現代文学史を百年以上遡っても比肩する例を他に持たぬ未曽有の歴史的大事件で、谷崎の『刺青』、芥川の『老年』、三島の『花ざかりの森』、その名を容易く語るも畏い大作家達ですら、ここにあげたものでは刺青を除けばお世辞にも激賞を受けたとは言い難く、況や二千万円。紙幣に作家の顔を載せるを今後も好尚とするのなら、水嶋ヒロは漱石に次ぐ千円札候補筆頭、世間はもっとこれについて賑わわねばならないし、八百長を糾弾せねばならない。今回の受賞は、文藝という分野への冒涜であり、ゆきすぎた商業主義の犯した大罪にほかならぬ。もし三島由紀夫が存命ならば日本刀を持って殴り込みをかけるも、美輪以来久しく台頭しなかった男娼的美貌を宿する水嶋ヒロにエレクティオたまらず枯れた文才に最期の炎を灯したかもしれぬところの、つまるところ世紀の大茶番である。


 ↑というわけで、たいへん腐臭の漂う有様となっている。ところで芸能人の出版する小説には、ゴーストライターの噂が絶えない。妬みの生んだ都市伝説くらいにしか捉えていない人々もおられるが、勿論ゴーストライターは存在する。物語を演じる者と、物語を紡ぐ者、両者を同時にこなそうとするとよほどの才能がない限りはシュワルツネッガーやスタローンを見ればその結末察するに易く、あまり面白くならないので知名度を利用するほかない。ですから、看板を貸してプロの売文家に投げるわけである。ざっくりとした主題と載せて欲しい単語さえ与えられれば、プロットの練り直しから校正まで、実に要望通りの文章を、あげてくる。売文家とは文字の調理人であり、彼らにかかればどんな食材でもとりあえずは口に合わせてくる。不味くさえなければ、あとは知名度が助けてくれる。「俳優なのに文章も上手で凄いねえ」平等とは言い難い視点から、文学を嗜まぬ人間によって評価される。誰が買おうとも一冊の重みに違いはない。


 役者の仕事は文字を紡ぐことではなく、声に出し動作に表すことで文字に生命を吹き込むことである。この役割の違いは、たとえば或る作品を眺めるにしても作家と演者には視座を大きく異とすることを強いる。ゆえに、自伝でもない限りは文章の捉え方の作家的でない役者達に読み手を唸らせる技量などあるはずがない。なるほど自伝も広義においては自然主義文学に収斂されようが、AV女優が阿鼻叫喚の茨道を歩むうち気づけばカメラの前で裸になっていたのような物語は、それが芸術なのかと問われれば私は甚だ疑問で、作家の素顔を覗きたいなどといったゴシップ的関心に基く私小説的作品は、選ばれた人間達がその他の人々を扇動していた往時ならいざ知らず、汎ネット時代にあっては珍しくもなければ不変性も持ち得ない。極上の自分語りとて、2スレも消費すれば飽きられる時代である。


 そんなことは発信者側も十全に理解しているからこそ有名人に創作物語を執筆させるなどという壮大にして軽薄な八百長を仕掛けてくるのだろうが、私は斯様な売名的マッチポンプ産業に携わる人間には潔く死んでもらいたい。文学をつまらなくしているのは、文学を工業製品同様に扱おうとする鈍感な人間達にほかならぬ。同時に、水嶋ヒロには恥という概念を覚えてもらいたい。怪しい人間関係によって彼の一瞬にしてのぼりつめたその地位は、純粋に実績として捉えてみれば太宰川端鴎外紅葉露伴独歩に春樹公房等等を、軽く超越してしまった空前絶後の高みであることを実感していただきたい。私なら迂闊にもそんな中に身を投げ入れてしまったことを恥辱の極みとして発売前に焚書を申し出る。





 

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  • 2015.10.23 Friday
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  • 09:45
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コメント
打てば響く。脊髄反応というには余りに精緻な筆、流石ですね。

「永らく不在だった賞金金額最大の新人賞を受賞した無名の新人小説家は、なんと元俳優だった!? しかも超ハンサム――!」吉住渉(代表作:ハンサムな彼女、マーマレードボーイなど)の筆による少女漫画かと思われる展開に、各界大いに沸いています。

良きにつけ悪しにつけ文筆に注目が集まりましょうから、ひとびとはどうか視線の端にいる才ある作家たちにも目をむけてほしいものです。ともあれこれからの作家はハンサムでなくちゃならない。我々は顔面をひた隠し、良文をつむぎましょう。

この件については私も返歌として書いてみたい。鉄は熱いうちに殴打せねば。



山本清風様

今回の顛末を眺めて、大人の対応をする作家がもしもいたとするのならそれはきっと自らにも暗い歴史を有する人でしょう。たまたま数年ぶりに出た大賞受賞者が、同じくたまたま文筆活動に転向した水嶋ヒロだったなんて天文学的な確率は、信じるに値しない奇跡以下の確率つまり八百長です。その事実からしてが既に小説的、というより漫画的。タッチよりも劇的な展開に思わず禿げました。

それにしてもこんな酷い自演を見ることになるとは思わなかった。僕は個人的に水嶋ヒロ氏には何らの感情もいだいていなかったけれども、テレビ出版おそらくは新聞まで、挙国一致のマスメディア腐敗を露呈させた象徴的事件として永劫語り継がれるであろう今回の顛末の、良くも悪くも中心的人物ですから、一つも擁護は出来ない。甘えすぎだろう。賞金も実績もすべてが滅茶苦茶だ、文学の歴史をあまりにかろんじています。周囲を固める首謀者まとめて許し難い。担ぎ上げ方がえげつないにも程がある。これだけの奇跡を僕に信じさせるには、書き手が誰であれ少なくとも泉鏡花以上の美文と谷崎以上のプロット構成力を必要とします。二千万円の価値をそなえる処女作となれば、きっとで春琴抄並の読むにつけ崇高な作品なのでしょう、さもなくばかくの如きセンセーショナルな出来事は、世の中に起こり得ないのです。
  • 本人
  • 2010/11/01 4:04 PM
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