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  • 2015.10.23 Friday
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天国は君にやるよ

 恋する者と酒のみは地獄に行くと云う
 根も葉もない戯言にしかすぎぬ。 
 恋する者や酒のみが地獄に堕ちたら 
 天国は人影もなくさびれよう!

 おれは天国の住人なのか、それとも 
 地獄に堕ちる身なのか 
 草の上の盃と華の乙女と長琴さえあれば、
 この現物と引き替えに天国は君にやるよ 

 天国にはそんなに美しい天女がいるのか? 
 酒の泉や蜜の池があふれているというのか? 
 この世の恋と美酒を選んだわれらに、 
 天国もやっぱりそんなものにすぎないのか?      

 -オマルハイヤーム・ルバイヤートより- 


 セルジューク朝の重要人物として山川世界史教科書にも名を連ねるハイヤーム氏、さぞ高尚な詩歌を残しているものとばかり思ってルバイヤートを読んでみたところ、神よりも酒と女を重んじる幾分刹那的な男だった。私は詩というものの気持ちよさがあまりわからない詩心のない人間だけれども、このルバイヤートはずいぶん気に入った。もっと酒を好きな身であったなら、なお感銘を受けたかもしれない。 


  夜も更けた時分、或る女性から公園に呼び出された私は、適当なベンチに座ると噴水の向こうに広がる閑散とした静岡の街並とそれを申し訳程度に彩る街灯を眺めていた。闇に呑まれた地方都市の寂しさは私の心をそのまま映ずる鏡のようであった。生気を欠いた不快な湿度は外の空気か或いは心の澱みであったか。 


  出かける前にガムを噛んで清潔にした口腔も、合流する頃には缶コーヒーとキャメルの煙にすっかり衛生的ではなくなっていた。そんな次第で私は適切な距離をとりつつ最近興味のあるコルビュジエやフランクロイドライトの建築哲学について話したり訊ねたりした。相手は終止笑顔である。私はおそらく眠い顔をしていた。一刻も早く帰りたかったけれども、呼び出されたからには相応の話があるに違いない、私は待ちに待って、実に四時間もの長丁場を煙草と前屈屈伸と缶コーヒーとのローテーションで乗り切った。午前二時を回ったあたりでようやく彼女の方が本題を持ち出してきて、まってましたとばかり私は夢想転生を繰り出したが、北斗剛掌波をまともに正面から食らう形となったので、仕方なしに魔封波返しで葬った。私には勿体ない、良い娘でした。 


  もちろん彼女は欲しい、たまらなく欲しい。切れてしまった冷房リモコンの電池よりもまず先に欲しい。それ程までに目下の私は女性の肌に癒されたい。けれども、キャッシングと彼女選びは慎重に。ガールズバーで可愛い娘に唾つけて、赤ら顔で口説いて、成功したこともある、されど恋人というのは何もセックスだけが共同作業ではない。対話、対話なんです。同程度の水準で物事を語ることの能う、頼り頼られの関係を構築出来得る、そんな異性でないことには、少なくとも心の満たされた関係性を育むことはできないらしいことに気がつくまでになんと長い時間のかかったことか。 


  週末は勉学のためスタバに籠ることが多くなってきた。もし、憂いに沈んだ表情を浮かべる黒髪の美女が、一人ウメ星デンカの単行本をめくっていたら、きっと私はその人に求婚しよう。  

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