<< 秋きたり | main | 結婚式 >>

スポンサーサイト

  • 2015.10.23 Friday
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

一定期間更新がないため広告を表示しています


夢見がち男

夢見がち男(25歳)は都内に働くサラリーマン。学生時分には映画と音楽をよく愛したが、今は上司と酒を飲むことや女とのセックスが楽しい。


観念から即物へと住まう世界を変えたがち男は、つまるところ映画や音楽ひいては芸術全般をそこまで愛してはいなかった。高校から大学にかけて、他者との差別化をはかるため努めて他人が選ばぬものを選び続けてきた結果、素人目にはなんとか個性的らしく見えるセンスを備えるに至っただけなのである。


「俺は、まるでひとけのない場所なんて、もともと歩く気がなかったのだ」


俺はこいつらとは違うのだ、そう言いつつもがち男は、マガジンハウス刊行物に記載された情報群からは寸分も外れようとしかった。そんな男がどうして個性的だと周囲から思われるのか?


日本人が使う携帯電話を見てドイツ人が近未来と唸るように、がち男は時差の妙を毎度用いたのである。飯屋Aが雑誌やネットに登場するや、あたかも昔から知っていますの顔をして周囲にひけらかし、周囲は一月経ってからテレビで実際にそれを見知り、がち男すげえなとなる。しかしながらがち男はその頃既に飯屋への興味は喪失し、新しいジュニアアイドル情報を発掘しており、吹聴、半年後にブレイクするや先と同様の喝采を浴びる…。つまるところ、先取りしているだけで何をも生み出さぬ編集者の傀儡なのであった。人のアンテナを私物化し、あたかも自分が素晴らしいセンスを備えているかのような錯覚、作り手としてはまことありがたい存在、実は誰より躍らされているわけだが、当人それを主体性と思い込んでいるのだからこんなにめでたいことはない。そういうわけであるからがち男は、決してセンチメンタル出刃包丁など聴こうとはしなかったし、自分以上の情報強者や実際表現活動に携わる人間とも仲を深めようとはしなかった。威張れなくなるからである。


ちょっとした分かれ道でも、長く歩き続ければまるで違う景色を眺めることとなる。がち男は、個性を個性たらしめる活動を本質的にはまったく放棄していた。それは、あくまで他人と同じ景色を眺めていたかったからである。ちょっと変わった風に見られたくはあるが、それによって失うものがあるならば、御免こうむりたい。彼は、アクセントに胡椒をかけることには賛同するが、思い切って豚骨ベースにされるほどの上昇志向など、つゆほども持ち合わせていない、サービスエリアの鶏ガラだし醤油ラーメンなのであった。

スポンサーサイト

  • 2015.10.23 Friday
  • -
  • 02:46
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
コメントする









calendar
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< May 2017 >>
sponsored links
nekokiの本棚
twitter
selected entries
categories
archives
recent comment
recent trackback
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM