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合コンに完勝

 日曜、嬲の三人で代官山の写真展に行き、夕刻より新宿へ向かった。そこで新たに嫐と合流し、変則的ながらも男女三対三で飲むという算段となっていたのである。ところが現地に到着すると、相手方の女の一人が来られなくなったため、嬲で居酒屋に向かうよとの報が入った。結局、男四に女二のしまらぬ会合となった。


 さて始まった。初見の男連中は、一人が狂乱の八十年代を引きずったような業界人風情、もう一人はギャンブル狂であった。風情のほうは、率先して話を進めるのだが面白いところ一つもなく、かといってもう一人ももう一人で、たまに口を開けば例外なしにつまらない。聞けばメロコア好きだそうで、やっぱりなと思った。しかし女性は小さくて可愛らしい。快活な物云いと立ち振る舞いに活動家のにおいを嗅ぎ取りそこが引っ掛かったので、話しかけてみた。


「大学では何をされていたんですか」
「社会学のほうを」
「ほうほう、デュルケーム」
「いやそんなの知らないけど」
「さてはフェミニストですか」
「ええ、まあ」
「やっぱりな」

 
 もうこの時点で話すべきことなど一つもなくなった。こちらのお供の女性は業界風情を狙っているという事前情報通り、つまらぬ話にも強いて笑い、わけのわからぬ自慢話にも感嘆の声をあげてみせる。女性というのは器用なものだ。キャバ嬢みたいなヨイショを間近に、閉口した。一緒にやってきた元同僚の鬼畜男も、頭の中は同じである。と、風情がナルシシズムをアッピールするが如くの汚らしい言を飛ばした。


「俺、誰に似てるかなあ」
「窪塚ソックリですよー」
「民生ですなあ」

 
 元同僚の男は窪塚と褒め、自分は民生と讃えた。誰よりキャバ嬢めいていたのは我ら怒れる男達だったのである。卑屈。泣きたくなった。


 当初の目的は、やってくる女性のいずれかと懇意になることであった。しかしながら蓋を開けてみれば眼前には男、面白いならまだしも冴えない話題ばかりで、女性ファッション誌のクオリティ? 知らないよそんなものは。黒い塊が胸中を覆い始めた。たとい流れ星銀に及ぼうとも、それを展開するのが風情である限り全てが退屈に思えて仕方なく、実際その通りであった。烈・天狼抜刀牙とか云うのである。間違い一つについても、いつもの三倍腹立った。気付けば戦うべき相手が『女性』から『合コン』そのものに変化していた。この場ァが憎くて仕方なかった。と、隣の長髪の元同僚が本気を出し始める。


「僕はジーパンのポケットをハサミで切ってあるんです。で、電車の中とかで彼女にポケットに手を突っ込ませて、チ●ポをいじらせるっていう」


 っていう、のところで彼は既に一人噴き出していて、当然自分も面白くて仕方ない。場違いの発言、つまり悪ノリ。天の邪鬼気質にはもっとも香ばしい愉悦の類いである。こいつはこの場に至っても裏切らない、頼もしくすら思えた。相手方の反応は、笑い半分ひきつり半分といったところである。今しかないような気がした。


「ローターをアナルに入れると射精が早いから、精神安定剤を飲んでいた一時期には愛用した。気分は女だね、イッちゃうとか云って、自分の言葉にビンビンくる」
「さすがっすね深●さん、僕も彼女に開発してもらって、最近では指が三本も入りますよ、陽子イッチャウ! とか云いますもん。ヤリマン陽子で売り出そうかな。コンビニにバイブ突っ込んだまま行ったこともありますよ。フラッシュ立ち読みしながらグラビアページでキターみたいな」


 こうしてその場を完全に粉砕することに成功した我々は、めでたく合コンに完勝したのである。帰りの総武線、あざとく座席を獲得した二人は、勝利の余韻と未だ冷めやらぬ悪ノリ話とに夢中の体であった。


「僕ね、酔った勢いで工事現場の黄色と黒のあれボキボキやっちゃったことあるんですよ」
「犯罪じゃないですか」
「あとね、秋葉原の万世橋から川めがけて自転車投げたりオラーって…フッ」
「犯罪じゃないですか…フッ」
「フッ」
「フッ」


 高円寺に到着した。二人は、例の風情のいかにつまらぬかを云い云いしながら、つまらぬ男に成り下がることを風情の名前になぞらえて『花村化(仮名)』と名付けた。改札をスムースに通れば『やばいっすよそれ花村化ですよ』、女心分かった風を吹かそうものならそれこそ『ウワー花村化』、などと各々に潜む下劣な性質すべからくに花村の烙印を押し、嘲笑を浴びせながら歩を進めた。


「このまま帰っちゃいけないと思うんだな。今日のあのつまらない男の記憶を消すためには、ラーメンを、それもかなりコッテリしたやつを食わねばならん」
「深●さんまじっすか、この期に及んでラーメンすか!」


 そうして二郎ラーメンに酷似したZERO ONEという店に入った。


「ゼロワンとか云って、プロレスじゃないですか!」
「そうだ、そうして俺は全部のせを食う」
「ウオー!」


 麺がやってきた。自分は豚骨、彼は醤油を頼んであったのだが、どう見ても醤油のほうが美味そうだったので、


「ちょっと一口頂戴、こんなことすると花村化しそうでアレだけど」
「あ、はい…プッ」
「えっ」
「いや、一口もらうのが花村化っていうのがわけわかんなくてツボに入ってしまって…プッ」


 麺を食いながらも、花村の話が止まらない。先の宴席において、自分とこの朋友が、クラブで踊るという行為が苦手で、人前で踊るなんて恥ずかしいという話を花村にし、余裕だよと不敵に返された場面が話題にのぼると、麺そっちのけに盛り上がる。


「あの時、じゃあどんな風に踊るんですかって聞いたら、あいつ胸元あたりに手を当てて身体を揺らしてこんな感じとかってやったじゃないですか、あれ超ダサくないっすかアイドルみたいプッ」
「あれ…酷かったなあプッ」
「あいつ、僕らに踊らされてましたよ」
「うまいこと云うなあ」


 という具合である。世間が我々と風情のどちらを酷いととるか、分かり切っていることなのであえて問わない。聞けば聞いたで間違いなく傷つく。が、歩み寄る気もないのであって、というのも元来ユーモアとは弱者の側にあると信じているのである。

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  • 2015.10.23 Friday
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コメント
絶でしょってつっこまなかったんですか。いやつっこんだらそれこそ花村化ですね。野暮だ。忘年会しましょう。
  • morimori
  • 2008/12/02 11:22 AM
おれも先日完勝しました
帰り道、誰とも目が合いませんでした
  • 大学生
  • 2008/12/02 3:53 PM
morimori様>
忘年会するんですか、そういえば今年はご懐妊からめでたいこと尽くしですからね、この童が参加してもよろしければ是非足を運ばせて下さい、イセ選手を目で犯そうと思います、顔忘れましたが。
  • 本人
  • 2008/12/04 2:34 PM
大学生様>

大塚愛似の女を酒の進むに従って本人と錯覚し不明な質問を浴びせまくった挙げ句にゲロを吐いた話は、君の話の中では今期一番の笑いがありました。紛れもない完勝です。

ただあの週末はそういうろくでもないことが世の中じゅうに起こっていたらしく、僕らの他にも幾つか似たような話を聞きました。シンクロニシティです。
  • 本人
  • 2008/12/04 2:38 PM
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