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  • 2015.10.23 Friday
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J'ai parlé avec le français

 入稿をとっくにぶっちぎり、独り黙々と仕事をこなして時計を見れば子の刻、無理をして明日に響いてはいけない。社会人たるもの身体が資本である。何よりお酒を飲みに行きたかった。会社を出ると外は月光のさえない澱んだ闇夜、するとそこで瞬く星よりあかるい瞳をしたシャム猫と目が合った。


「にゃーごこの野郎!」


 こちらの怒声に怯んだ猫は一目散に逃げ出すと、前後不覚が祟って鼻息荒いダンプカーに原型の留まらぬほど壮絶に轢かれてみせた。運転手も気付かぬまま車輪に巻き込まれた猫はその躯一切を残すことなく、忽ちこの世から消滅した。わずかばかりの体毛が、欺瞞に満ちた夜風の間で申し訳程度に舞ってみせた。


 というのは全部嘘である。


 馴染みの酒場へ行くと、沈鬱な表情で酒に溺れる常連のU子が目に入った。


「最近どうですか、仕事とか」


「ふん」


 なんだおい、細雪の雪子みたいなこと言う奴だな、思ったところ、新たな女性常連客P子がやってきた。するとU子はP子に向かって、


「もうね、仕事どうですかとか言われるの本当辛いのよね。その人のことムカつくとかってんじゃないけど、勘弁してって思う。どうせダメ人間くらいにしか思われてないんでしょ、私」


 と放言するや、ふてくされてしまったのである。ヒステリックな愚痴を間接的にこちらへ聞かせてくれてありがとう。闇より黒い言動に少なからず動揺していると、今度はそこへフランス人男性が、ジョージハリスンの『Here comes the sun』を美声で歌いながらやってきた。意図せずして絶妙の選曲をとる洒落っ気に、スノッブとエスプリ入り交じる香ばしいフランスを見せつけられた。彼女に光明あれ。ところでフランス人は酩酊で、席につくや女性の乳の話を始めた。


「ドンキホーテに、Fカップになるというクッキーが売っていた。私はそれがたいへん心配だ」


 そうですか、まあインチキでしょうな。男が食べたらどうなるんでしょうな、聞いてみたところ、


「男が食べたら金玉こんなに大きくなっちゃうよ! タヌキ!」


 そう言って金玉の皮を広げて空を飛ぶ真似をするのである。豪気だがしかし、思い描くフランスジョークの最果て、かぎりなく団塊なブルーアイでもある。とはいうもの、狸=金玉というきわめて日本的な概念を知る貪欲な彼にの姿勢には非常な好感を抱いた。それ故に不毛なユーモアセンスをも、身につけてしまったのかもしれないが。影響というのは、いつだって善悪両方向に伸びるものである。


 その後も彼の独壇場は続き、パンケーキヌンチャクとか言って巨乳をヌンチャクに仕立ててみたりと、虚飾の盛り上がりに沸く反面、稚拙である。良く言えばパーティロック、悪く言えばイナゴライダー、というわけで明日も早いのだしと店を出て今に至る。


 
 

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